2015年9月3日木曜日

バジルスイート

○バジルスイート(Basil sweet)

 昔から薬草として使用されてきたバジルは、日本でもポピュラーなハーブです。

 インドの民話では、バジルはクリシュナ神とビシュヌー神に捧げられたものとされ、人間を保護する性質があると考えられていました。また、アーユルヴェーダ医学でも広く使用されています。

 虫に刺されたとき、葉を軽く揉んで刺されたところに当てると、かゆみを抑えるといわれています。

 多くの用途に使われる精油ですが、香水にも使われます。その歴史も古く、古代ギリシャでは王宮の香りとして「バジリコン王の草」と呼び、香水に使っていたそうです。

 バジルの精油は特に集中力をアップしたいときにおすすめです。痛みをやわらげる効果も期待できます。

学 名:Ocimum basilicum
科 名:シソ科
主な産地:エジプト、北アフリカ、フランス、キプロス島
採油方法:全草の水蒸気蒸留法
揮発度:トップノート
香りの強さ:中

作 用:強壮、去痰、駆虫、駆風、解熱、健胃、健康回復、抗うつ、抗神経障害、抗毒、催淫、催乳、殺菌、殺虫、刺激、消化促進、頭脳明晰化、鎮痙、鎮痛、痛経、発汗
主な成分:モノテルペンアルコール類のリナロール、フェノール類のオイゲノール、酸化物のシネオール、αテルピネン
相性のいい精油:クラリセージ、サンダルウッド、ゼラニウム、ベルガモット、メリッサ、ラベンダー

◎心への働き
1.意識をクリアにし、集中力を高める
2.自律神経のバランスをとる

◎体への働き
1.呼吸器系の痛みをやわらげる
2.筋肉や関節の痛みをやわらげる

◎肌への働き
1.虫さされのかゆみや、虫除けに効果がある

使い方:他の精油とブレンドしマッサージオイルに。ストレスをやわらげる

★使用上の注意
1.妊婦は使用を控える
2.皮膚への刺激が強いので、使用量に注意する

バジルスイート

2015年9月1日火曜日

パインニードル

○パインニードル(Pine needle)

 松の木の球果からとれる精油です。

 パインはエジプト、ギリシャ、アラブの各古代文明にとっても無縁ではありません。宗教的な儀式と一定の結びつきがあり、これらの社会ではそのパワフルな働きが認められていました。

 最初の使用方法は吸入で、気管支炎、結核、肺炎のような肺の感染症に役立ち、パインの木がたくさん生育している地域に人々が群がったといわれています。

 北米では石けんやバスソルトに広く使われていて、消臭や殺菌、消毒に効果を発揮しています。

 スキンケアに使う場合は、ごく控えめな量にし、必ずベースオイルで薄めて使用しましょう。

学 名:Pinus sylbestris
科 名:マツ科
主な産地:オーストリア
採油方法:針葉と球果の水蒸気蒸留法
揮発度:ミドルノート
香りの強さ:中から強め

作 用:引赤、強壮、去痰、健康回復、抗菌、殺菌、刺激、消臭、粘液過多治癒、発汗、鼻粘膜排出、利尿
主な成分:モノテルペン炭化水素類のαピネン、リモネン、カンフェン、エステル類の酢酸ボルニル
相性のいい精油:クローブ、サイプレス、シダーウッド、シナモンリーフ、タイム、ティートリー、ニアウリ、マートル、ユーカリ、ラベンダー、ローズマリー

◎心への働き
1.疲れた心をやわらげ、元気にさせる

◎体への働き
1.呼吸器系の痛みをやわらげ、鼻づまりを改善する
2.血液循環を刺激し、関節の痛みをやわらげる

◎肌への働き
1.しっしんや切り傷、皮膚の炎症をしずめる

使い方:緊張を緩めたいとき、ハンカチに1滴落とし吸入する

★使用上の注意
1.皮膚への刺激が強いので、使用量に注意する

 
パインニードル

2015年8月24日月曜日

バイオレットリーフ

○バイオレットリーフ(Violet leaf)

 スミレの葉から採取される精油です。

 緑葉から生まれたオゾンたっぷりの香りは、不眠を克服し、怒りと不安の感情をしずめる力を持っています。また、催淫効果もあり性的障害に役立ち、性衝動を回復させると古くから言い伝えられてきました。二日酔いにも有効とされています。

 スミレの花は日本にも多種生息していますが、精油に使われるのはフランスやエジプトなどの国のものが多くなっています。

 スミレは16世紀にイタリア人によってフランスにもたらされました。当時は、呼吸器疾患を治療するための塗り薬に混ぜて使用されていました。

 また、花びらを砂糖のシロップやハチミツにつけて食べると体によいと信じられていました。

学 名:Violet odorata
科 名:スミレ科
主な産地:エジプト、フランス、イタリア、北アメリカ、中国
採油方法:葉の溶剤抽出法(アブソリュート)
揮発度:ミドルノート
香りの強さ:中から強め

作 用:抗炎症、利尿、鎮静、殺菌
主な成分:フェノール類のオイゲノール、ケトン類のパルモン、アルコール類のベンジルアルコール、スミレ葉アルコール、アルデヒド類のスミレ葉アルデヒド
相性のいい精油:イランイラン、オレンジスイート、グレープフルーツ、サンダルウッド、シトロネラ、ジャスミン、スペアミント、ネロリ、フランキンセンス、ペパーミント、ベンゾイン、ミモザ、ラベンダー、レモン

◎心への働き
1.不眠症を改善する
2.不安や怒りといったマイナスの感情をしずめる

◎体への働き
1.頭痛や二日酔いの症状をやわらげる
2.性的障害を克服する催淫作用を促す

◎肌への働き
1.炎症によるかゆみや赤みを抑える
2.アトピーなどアレルギー症状をやわらげる

使い方:フレグランスに最適

★使用上の注意
1.香りが強いので、ごく低濃度で用いる

バイオレットリーフ

2015年8月21日金曜日

バーチ

○バーチ(Birch:別名カバノキ)

 カバノキの樹皮から採取される精油です。

 この木は何世紀もの間、樹液から薬用ワインが作られたり、口の中に出た炎症の治療によく効くうがい剤に利用されたりしていることからも、殺菌作用が期待できる精油です。

 また、葉も利尿作用のあるお茶として利用され、その収れん作用から、スキンローションや塗布剤の成分としても使われています。

 以前、ロシアで製造されていたバーチタール油は、皮革や石けんの製造に用いられ、関節の痛み、痛風や各種皮膚感染症にも役立てられていました。また、ドイツではヘアトニックの成分のひとつとして使用されていたようです。

 バーチの主要成分、サリチル酸メチルは鎮痛剤アスピリンの原料になります。

学 名:Betula alleghaniensis B.pendula
科 名:カバノキ科
主な産地:アメリカ、ロシア、オランダ、ドイツ
採油方法:樹皮と小枝の水蒸気蒸留法
揮発度:ミドルノート
香りの強さ:中

作 用:強壮、殺菌、殺虫、殺微生物、収れん、浄血、鎮痛、利尿
主な成分:エステル類のサリチル酸メチル、セスキテルペン類のベツレン、ベツレノール
相性のいい精油:オレンジスイート、カモミール、カユプテ、ジンジャー、フランキンセンス、ラベンダー、レモン

◎心への働き
1.元気づけ、気持ちを明るく盛りあげる

◎体への働き
1.利尿作用を促し老廃物を除去し、膀胱炎の痛みをやわらげる
2.関節や筋肉の痛みをやわらげる

◎肌への働き
1.しっしんや皮膚のはれの治りを促す

使い方:マッサージオイルに。筋肉痛などの痛みを軽くする

★使用上の注意
1.刺激が強いので、使用量に注意する
2.スイートバーチ(B.lente)はアロマテラピーには使用しないこと

バーチ

2015年8月20日木曜日

ネロリ

○ネロリ(Neroli)

 甘いビターオレンジの香りが女性の心をとらえる精油です。ネロリの名は、イタリアのレロラ公国伯爵夫人、アンネ・マリー・ネロリが愛用したことに由来しています。

 ビター・オレンジの花は長い間、純潔を象徴するとともに、永遠の誓いの印と考えられ、花嫁のブーケに使われてきました。この精油はほんの少量抽出するのに大量の花が必要になるため、大変高価です。

 採油するときに同時にできるオレンジフラワーウォーターは、スキンケア用化粧品やオーデコロンの成分としてよく使われるほか、東欧の多くの料理の材料として人気があります。また、古来より、人々を幸福に導く香りとしても知られています。

 催淫効果も有名で、セクシーな気分にさせるといわれます。

学 名:Citrus aurantium
科 名:ミカン科
主な産地:エジプト、フランス、モロッコ、イタリア
採油方法:花の水蒸気蒸留法
揮発度:ミドルノート
香りの強さ:強

作 用:強心、強壮、催淫、鎮痙、鎮静、細胞促進、消臭、皮膚軟化、殺菌
主な成分:モノテルペンアルコール類のリナロール、ゲラニオール、エステル類の酢酸リナリル、モノテルペン炭化水素類のリモネン、αテルピネン、セスキテルペンアルコール類のネロリドール
相性のいい精油:イランイラン、オレンジスイート、コリアンダー、サンダルウッド、ジャスミン、ゼラニウム、ローズ、パルマローザ、プチグレイン、ベルガモット、ライム、ラベンダー、ローズマリー

◎心への働き
1.不安、緊張をほぐし、気持ちを落ち着ける。
2.交感神経をしずめ、不眠症を改善する

◎体への働き
1.下痢を止める
2.血行をよくし、催淫効果がある

◎肌への働き
1.肌に弾力を与える
2.しわやたるみを防ぐ

★使用上の注意
1.精油全般にいえる安全な使い方を

ネロリ

2015年8月18日火曜日

ニアウリ

○ニアウリ(Niaouli)

 カユプテと同じ仲間で、ティートリーと見た目が似た植物です。効能効果もティートリーとよく似ています。

 繁殖方法がユニークで、種子は山火事などの火力によってさやをはじき飛ばし、種子を放出します。

 この精油を「ゴメノール」と呼ぶフランスでは、パワフルな殺菌消毒剤として価値があると考えられ、以前は病院で使用していました。中東地方では飲料として用いられていたこともあります。

 ニアウリ油が蒸留されているニューカレドニアでは、空気が清浄でマラリアが発生しないのはこの樹木が生育しているからといわれています。

 また、最近では免疫力を助ける作用が高く評価され、さまざまな研究がなされている精油として注目されています。

学 名:Melaleuca viridiflora
科 名:フトモモ科
主な産地:マダガスカル、オーストラリア、ニューカレドニア
採油方法:葉の水蒸気蒸留法
揮発度:ミドル~トップノート
香りの強さ:強

作 用:駆中、解熱、抗リウマチ、殺菌、殺虫、刺激、鎮痛、粘液過多治療、瘢痕形成、鼻粘膜排出、癒傷
主な成分:酸化物類のネロリドール、ビリディフロール、モノテルペンアルコール類のαテルピネオール、セスキテルペン炭化水素類のβカリオフィレン
相性のいい精油:オレンジスイート、ペパーミント、ライム、ラベンダー、レモン、ローズマリー

◎心への働き
1.頭脳明晰にさせ、集中力を高める
2.憂うつな気分をやわらげる

◎体への働き
1.呼吸器系の痛みや炎症をやわらげる
2.関節の痛みをやわらげる

◎肌への働き
1.ニキビや吹き出物、水虫の治りを促す

使い方:風邪のときの芳香浴に使う

★使用上の注意
1.妊婦は使用量に注意する

ニアウリ

2015年8月17日月曜日

ナルデ

○ナルデ(Spikenard:別名/スパイクナード)

 ヒマラヤ産のハーブの根からとれる精油です。

 「マリアは非常に高価な、純粋なナルドの香油300gを取ってイエスの足に塗り、彼女の毛でイエスの足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった」(ヨハネの福音書12章3節)。

 このように聖書にも登場するナルデは、古くから多くの人々に親しまれてきた香りです。別名、甘松香(かんしょうこう)とも呼ばれます。

 セイヨウカノコソウと近い種類で、ジャコウに苦味を足したような、独特の芳香です。ヒマラヤの限られた地域だけに自生していたことから非常に珍重され、特に古代ローマの女性たちには好まれていたようです。

 ナルデはベースノートの中でも、一番効果が出やすいといわれる精油です。

学 名:Nardostachys jatamansi
科 名:オミナエシ科
主な産地:インド、ネパール
採油方法:根の水蒸気蒸留法
揮発度:ベースノート
香りの強さ:強

作 用:うっ滞除去、抗炎症、抗ウイルス、抗菌、駆虫、精神安定、神経鎮静
主な成分:モノテルペン炭化水素類のカラレン、アリストレン、セスキテルペン炭化水素類のアローアロマデンドレン、セスキテルペンアルコール類のバレリアノール、スパスレノール
相性のいい精油:ベンゾイン、フランキンセンス、イランイラン、バレリアン、ミルラ

◎心への働き
1.緊張をほぐし、ストレスを解消する
2.イライラをしずめ、不眠症を改善する

◎体への働き
1.せき、声がれなどの呼吸器系の症状をやわらげる
2.食欲を増進させる

◎肌への働き
1.肌の炎症をしずめる

使い方:フレグランスに

★使用上の注意
1.精油全般にいえる安全な使い方を守る

ナルデ